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世界 見つめはじめた中国連珠 3年ぶりの北京

 京都で生まれた連珠が北京市を中心に中国で広がりつつある。中国への連珠普及をめざし、初めて北京・上海に行ったのは3年前。それが今年に入って、北京に京都連珠社(代表・那威さん)が誕生し、たちまち五つの小学校での実験授業に取り入れられるなどすごい勢いで発展を始めた。那さんからの強い要望で視察をかね、今月7日から4日間の日程で北京市を訪れた。

〈爆発するエネルギー〉

 3年前、中国に普及の第一歩をしるした時、大盤解説に集まったのはわずか35人であった。それでも、彼らのあふれるエネルギーを感じとった。だが、260年の歳月をかけて作り上げてきた独自のルールが中国で受け入れられるかどうか。たった2人のファンから有段者6,000人に育った旧ソ連の例もあり、その期待に大なるものがあったが・・・。

 今年に入って北京に京都連珠社が結成され、実に活発な展開をみせているとの情報が入ってくるようになった。そして今回、何と260人が押しかけてきた。それも希望者900人から選抜されたものであった。 

 ルールは完全に身につけている。前回、驚きとため息がもれたワザも、当然という感じで消化されている。なぜかくも彼らを短期間のうちに変えてしまったのだろう。

〈わきおこる民衆の力〉

 今、中国では民間の活力を国家レベルの活力に生かす施策がどんどん取り入れられている。どうやら、連珠がぴったり当てはまったようだ。「お金がかからない」「仲間が広がる」に加えて、「世界の仲間と会うチャンス」「外国に派遣される可能性」がファンの心をつかんだといえるが、民間レベルで自主運営をしている。“仲間意識”も欠かせない。

 8月に行われた世界選手権エストニア大会に派遣された那威さんは、あこがれの人。ファンの目はしっかりと世界につなっがっており連珠の発展にかける彼らの期待はすこぶる大きい。来年5月にロシアで予定されている第1回国別対抗戦(5名1チーム)に出場する夢を膨らませている。

〈実験学習に「連珠」〉

 2日目、われわれは連珠を教育現場に取り上げている北京の中心部にある東成春辺小学校を訪問した。

 この日は、全学年全クラスで連珠の授業。全児童が対局をしている光景を見た。うまい手を打つ少女に声をかけると「ありがとうございます」と返ってきた。驚いて通訳を見かえすと、追っかけ「どうぞよろしくお願いします」。これも日本語教育の成果であるという。この学校に日本人が足を踏み入れたのは、われわれが初めてだったようで、先生方は生きた学習ができたと大喜び。

 少年達の目は輝いている。いつの時代に彼らが世界にはばたくのだろうか。私にはそう遠くない日であると思えてならない。

〈心の通う日中友好〉

 同社顧問の魏錫禄さんはおっしゃった。「50年前、われわれと日本の間ではいろんなことがありました。でも、今こうして連珠で仲良くなった。これからは隣人として楽しい関係にしていかなくては?」。

 こんなうれしい言葉をいただきながら、連珠は中国に定着をはじめている。

[京都新聞 平成7年10月17日]

北京市・東成春辺小学校での連珠授業風景