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「連珠を世界に!」ロマンの旅 6

国際交流の第一歩 いよいよスウェーデンへ 2

予想を上回る力示す
胸打つ向上欲と練習熱

スウェーデン・チャンピオン 大学生のヤンソンさんと
スウェーデン・チャンピオン
大学生のヤンソンさんと

さて、彼らの実力だが、訪問前から高い水準においていたものの、現実に触れてみると、予想よりはるかに強く、それも“攻め”を主体とした対局を心掛けているので、魅力がいっぱいだ。筆者は常日ごろから「怖い連珠を打て」といって指導しているが、まさに彼らはその怖い連珠、つまりスリルあふれる対局に終始していた。それと、連珠に愛情をもっているのが何といっても素晴らしく、上達の要素を兼ねそなえている。特にスンドリング、ヤンソン両君の力量は並々ならぬもので、マルテル氏ともども二段を認定したが、これらの段位は決して表敬的なものではなく、昇竜の勢いにある彼らにとっては、単なる一通過点にすぎない。

マルテル氏は、日ス対抗戦を夢見ているが、われわれが軽く考えていると手厳しい結末を招くのは必至だ。それほど、高く評価してよいだろう。何より日本の連珠のすべてを吸収してしまいたいという熱意に燃えており、とくにマルテル氏は多くの棋譜を日本から取り寄せて、メンバーにばらまいている。この動きはそう遠くない将来、日本の脅威となることを示唆している。筆者はこうした力強い動きを楽しみにみつめる半面で、日本自身も技の練磨を怠ってはなるまいと決意させられたほどであった。

大会終了後、See you again を固く約して、会場のヨンチョピング市をあとにした。マルテル氏は明年の夏、連珠の指導を仰ぐために来日を予定しているので、再会がとても楽しみである。なお、筆者の訪ス中の成績は、練習対局も含めて22勝1敗1分け(日本選手との対局を除く)で全試合必勝の思惑は16局目に、若きフランク・アルギス君(22=銀行員)に敗れ、失敗したことを付記しておきたい。

また、翌7日はデンマーク、コペンハーゲンにトースティン・ビリー氏(プログラマー)とトーベン・ザール氏(43=大学教授)を訪ねた。両氏はプログラマーとして「ゴモク」のプログラム化に挑戦し、81年「コンピューター・ゴモク・トーナメント」(4ヶ国、11名出場)に参加、1,4位を収めている。ここでも温かい歓迎を受け、夕食をともにしながら、前記の言葉を受け、「これからも連珠を楽しんで下さい」とメッセージを託して辞去した。

ところで、スウェーデンの動きについて、ソビエトのウラジミール・サプロノフ氏(32=ジャーナリスト)も黙っていないだろう。連珠の知識を得たい目的でとうとう日本語(漢字も含めて)をマスターしてしまったサプロノフ氏が、筆者と出会ったのは、6年も前になる。それ以来、すっかり連珠の魅力にとりつかれた感のある彼は、81年5月にソ連邦連珠社を結成、同年「全ソ連連珠選手権」を、翌年から「モスクワ連珠個人選手権戦」を企画実施している。こちらの方も日ソ対抗が近いことを告げており、ジャーナリストの肩書きをフルに生かして「連珠を打ちましょう!」と再三呼びかけて、メンバーをどんどん増やしている。彼の力量もまた強い。筆者と出会ったときに、優に有段の力量だったことからして、今ではどれくらい上達しているのだろうか。こちらの動きもとても楽しみで、ぜひ再会したいと思っている。

終わりにあたり、われわれ連珠家が早急にすべきことは国際珠規の整備、確立、さらに用語や対局規定の整備、英訳である。いま「連珠/五目世界チャンピオン通信戦」(今年はソ連邦連珠社がプロモート)があるが、明年4月から日本連珠社京都支部がプロモートして、「通信連珠国別対抗戦」(4名1チーム)を実施することになった。こうして徐々に力を蓄え、あとは実戦の場へと歩んでいきたい。こんな国際試合でもわずかの資金でできるのだ。せっかく世界各国で手を結ぼうという動きが高まりつつある現在、ぜひ日本の各界からも温かいご協力と、理解ある愛情の目を注いでほしいと思う。まして連珠は、わが国が独自で育成してきた庶民文化であり、平和なゲームだ。

ともあれ、今回の訪欧の成果を生かすか、それとも無にしてしまうか、明年こそは大切な年と肝に銘じながら、さらに地についた活動に努め、国際文化の交流にお役に立ちたいと念じている。

(社団法人日本連珠社副理事長、同京都支部長、八段=いずれも当時)

『京都新聞』 1982・12.17

追記(当時、記した自分自身へのメッセージから)

今日は、12月20日。
帰国してから、はや9日があっという間に過ぎ去った。
この間にしたことといえばなんだったのか。京都新聞への出稿、京都連珠会忘年会の出席、写真の整理、お土産の届け、読売新聞社からの取材。いろいろあったが、一番大きな労力を払ったのは、「体調の整備」であった。お陰で今は何の後遺症もない。

スウェーデン行きの問題点に関しては、京都新聞社が私の提出原稿をまったくカットせず(当初の出稿依頼は半分であったが、半分ではまとめられないと全文提出したもの)に掲載してくれたので、ほぼ言い表しているので重複してしまうので書かないことにする。

次回に派遣する人材の条件は次の通りであると思うので記しておく。

(1)少なくとも、私より英語力があること。第1条件=必須=なり。
(2)連珠に対し、真摯な愛情をもつ人材であること。=必須なり
(3)本当の意味で連珠界の実態を把握できている人。
(4)5段以上のホンモノの打ち手、または将来に大きな期待を持てる人。
(5)行動的な人。
(6)国際視野の広い人、または素直に外国の良さを吸収できる人。
(7)今後も継続して連珠界に身をおく人、またはおくであろう人。
(8)紳士的、礼儀をわきまえている人。