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「連珠を世界に!」ロマンの旅 10

スウェーデン 2回目の訪問

スウェーデンからトミー・マルテルさんを迎えて国内に国際普及のともし火がちょっぴりついたかと思われた翌年(1984年8月)、第2回の訪問は10名の規模に達した。

富山から、ベテラン佐伯静夫九段に名乗りをあげていただいたのが何よりも大きく、京都だけでない広がりも出てきた。加えて、今回は小学生と中学生が5人も参加したので、訪問地ヨンチョピング、ストックホルムで大反響を呼び、連日新聞に大々的に報じられることになった。

このことがあって、在住日本人の方がたくさん見学に見え、翌日にはおにぎりの差し入れが届くなど、楽しい交流はこのあとも長年続くことになる。国際普及にはこういった横の拡がりが大切だと思う。
以下は、京都新聞に掲載されたレポートに譲る。

連珠を世界に 成果を上げた国際交流   =京都新聞 1984年8月

「連珠を世界に」「連珠を通じて世界に方々と握手をしよう!」を掲げて出掛けたスウェーデン・オランダ国際交流の旅は、予想をはるかに上回る素晴らしい成果を得ることができた。本当にありがたく、胸を張って報告できることをうれしく思う。

7月30日に出発した一行(達富弘之監督・京都府立農芸高校教諭)は、最初目的地のスウェーデン・ヨンチョピング市に降り立った。一昨年12月、筆者らが初めて国際交流に出掛け、第一歩を印した記念の地である。

今回の訪問の目的は、第3回ストックホルム・サマー大会に出場、普及指導活動をする一方、隔年ごとの選手派遣を定着させるためであった。

8月1日午後6時から、まずヨンチョピング・チームと親善対抗戦(各チーム8名)。親善とはいうものの、初めての対抗戦である。筆者は「彼らを打ち負かすことが、彼らにより連珠を魅力あるものにさせる」と口をすっぱくして訴えてきた。こちらのメンバーは、A級棋士の大阪大学3回生長谷川一人九段(21)、富山のベテラン佐伯静夫九段(70)がいるとはいうものの、一橋校5年谷真人5級(10)、同4年早川光志7級(10)らも含んでおり、上位陣がよほどしっかりしなければ、と心配せざるを得なかった。ところが初戦からヨンチョピング・チームを圧倒、28対4で快勝してしまった。

翌2日は、ストックホルムに移り、今川正彦京都市長のメッセージを携えて、ストックホルム市長を表敬訪問。あいにく市長は不在だったが、秘書の方と月輪中学1年早川美枝子6級(13)が記念対局。これでも明らかなように、スウェーデンには連珠のもとというべき五目並べ(ルファチャックと呼ばれる)がかなり定着していた。

いよいよ3日から、メーンの「第3回ストックホルムサマー連珠大会」の開始。3日間の結果は、筆者が12戦12勝で優勝、長谷川五段が11勝1敗で入り、二人がスウェーデン勢をパーフェクトで抑え込んで、ここでも目標を達成した。

第1日の模様がはがき大の写真入りで地元の各新聞が競って報道し、地元に嫁がれている日本人女性を含め、10数人が観戦にみえた。その場でスウェーデンの連珠連盟に入会手続きをとる人もあり、大きな反響を巻き起こしたのはうれしかった。

ところで、彼らの中には日本語の勉強を始めるものもあり、5人のメンバーが京都へぜひ行きたいと語り、来年には京都で「日ス親善戦」が華々しく催されそうで、今回の目的は達成された。交流3年目にして、早くもこのような隔年ごとの派遣が具体化し、喜びを押さえ切れなかった。

6日、「See you again' next summer!」と固く約して、ストックホルムをあとにした。オランダ・アムステルダムに入ってホテルに着くや、ヘンク・ハークスアさん(39)らが訪ねてきた。彼は囲碁将棋クラブを主宰しているそうで、最近になって連珠も始めたとのこと。翌日仲間の4人を連れて再びやってきた。立派な碁盤と将棋盤を携えていた。

夜11時近くまで連珠、将棋などを楽しんだ。ハークスアさんは長谷川五段に連珠のルールから用語、歴史などを詳細に尋ねてメモをとっていた。注目したのは、必ずメモをしたあと、日本語をローマ字と漢字で記すこと。彼はこうして漢字をマスターしているとかで、日本語を聞くのは駄目だが、読むのはそこそこできると、と言っていた。

彼らの3人までが日本語の勉強を始めており、近々連珠クラブを結成して、一般への普及に乗り出すとの意気込みだった。ここでも連珠の芽はしっかりと根づいた。

ところで、最も広がりをみせるソ連は、都市対抗が行われるなど、4000人の愛好者が育っているのが伝わっている。あと1,000人で正式に政府から認められるクラブに昇格するのだそうだ。来年2月、モスクワで国際戦の企画ももちあがっており、筆者に再三の参加要請が届いている。

しかし、残念ながら国際親善のすべてが自費参加で、ここまでが精いっぱい。心苦しいものの、応じかねているのが現状である。しかし、近い将来にはソ連の遠征が実現するのは確かだろう。

連珠が、ようやく世界にはばたき始めた。皆さんの温かいご声援を、心からお願いする。

[はやかわよしみ 日本連珠社副理事長、今回の交流団では団長を務めた。京都市在住、連珠八段]

スウェーデン 国際交流の旅

追記
帰国に着いたその日、KBS京都テレビから出演依頼があり、富山の佐伯静男九段を除く全員が時差ぼけも混ざる眠気まなこでナマ出演したのも楽しい思い出である。

また、NHKテレビニュースにも取り上げられ、夕刊フジには35回に亘ってレポートを掲載させていただいた。

さらには、ストックホルム等で出会った在住日本人の多くからお礼状や激励のお便りをいただくなど、充実で素晴らしい旅となった。今、思い出しても胸が熱くなる。

詳細は『スウェーデン 国際交流の旅』にまとめられている。

スウェーデンの新聞より

スウェーデンの新聞